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相続財産にゴルフ会員権があった場合

相続財産にゴルフ会員権があった場合に、①相続してそのまま利用する、②利用しないので預託金の返還を求めて脱会するという方法が考えられます。

 

1)被相続人の会員たる資格の相続
①の場合には、まず、相続人が被相続人と同様にゴルフクラブの会員たる資格を取得しうるかという問題があります。
この会員たる資格は、入会資格の審査を経てはじめて付与されるものであるため、資格自体は相続の対象とならないと考えられています(最高裁平成9年3月25日)

 

2)被相続人の契約上の地位の承継
次に、被相続人死亡後、会員となることができる地位を承継し得ないかということが問題となります。これは上記「会員たる資格」そのものとはまた別のものです。

 

ア 会則中に相続を否定する定めがある場合。
会則にこのような規則を設けること自体は認められているため、このような規則がある場合には、相続性は否定され、地位の承継も認められません。
もっとも、この場合、被相続人の死亡によって当然に契約が終了し、預託金返還請求権が発生しますので、発生した預託金返還請求権については、相続することができます。

 

イ 会則中に相続を認める定めがある場合。
当然に、地位の承継が認められます。

 

ウ 相続に関するア、イのような定めがない場合
この場合でも、地位の譲渡性が認められるような会則の定めが存在する場合には、相続が認められます。この場合、相続人は、理事会の入会承認を得ることを条件として会員となりうる地位を取得することになります(最高裁平成9年3月25日)

 

エ 会員の死亡を資格喪失事由とする定めのみが存在する場合。
この場合も、必ずしも相続が否定されるわけではありません。地位の譲渡性が認められるような会則の定めが存在する場合には相続が認められます。
この場合も相続人は、理事会の入会承認を得ることを条件として会員となりうる地位を取得することになります(最高裁平成9年12月16日)

 

3)被相続人死亡による預託金返還請求権
ゴルフ場の会員だった被相続人が死亡した際には、相続人の誰かがそのまま利用しないのであれば、契約を終了し、預託金返還請求権が権利として残り、ゴルフ場に対して、返還請求をすることになります。
遺産分割をしていなければ、相続人全員で請求をすることになり、遺産分割や遺言で特定の相続人が相続することになった場合には、その相続人がゴルフ場に預託金の返還請求をすることになります。

 

ゴルフ場に対する預託金の返還請求の方法、問題点については、こちらをご覧になってください。
また、遺産分割についてはこちらをご覧になってください。