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原監督の不倫について

1988年ごろ、私はある女性と関係を持ちました。女性とはまもなく連絡を断ちましたが、それから約18年後、監督に復帰して1年目の2006年8月、プロ野球と関係ある人物から電話があり、『あなたの女性問題に関する日記がある。公になれば球界は大変なことになる。表に出ないように私に任せてほしい』と言われました。

 

ゆすられていると思い、不安を感じた一方、私を助けてくれるのだとも解釈し、要求された現金を渡しました。悩んで悩んで悩み抜いての苦渋の選択でした。私の個人マネジャーとは『これで終わりにならない時には球団に相談し、警察に届け出よう』と話し合いました。

 

その後、動きはありませんでしたが、2009年、別の男から球団に電話があり、『女性問題のことを書いた日記が監督の手に渡ったはずだ。それを返してほしい』ということでした。私は球団にすべてを打ち明けました。妻にもすぐに告白しました。一番傷つけてしまうのは妻だと思ったからでした。

 

電話をかけてきた男は逮捕され、有罪になったと聞きました。私は一連のことが明らかになった時は、誤解を招かないためにも、自分の言葉で釈明しようと考えてきました。自ら心境をつづって、けじめをつけたいと思ってきました。

 

私個人の不徳の致すところであり、浅はかなことをしたと思っています。たくさんの選手を指導するプロ野球の監督という立場にある人間として、深く反省しています。ファンの皆さま、大変申し訳ありませんでした。

 

読売巨人軍 原辰徳

 

原監督が女性との関係を公にさせないようにするため1億円を支払ったという事件が世間を騒がせています。 お金を渡した相手が反社会的活動をしている人物かどうかについては週刊誌の記事が事実に反すると原監督や球団が主張しているので、その問題とは別に、この問題は明らかに脅迫で、週刊誌の記事も名誉棄損となるということについて解説します。

 

まず、週刊誌の報道から考えてみましょう。
意外かもしれませんが、不倫していることを公表することは、それが事実だとしても原則的に名誉棄損行為です。人の社会的評価を下げる事実を公表すると名誉棄損になると規定されているし、判例上もそのように理解されています。

 

「あいつは不倫なんてひどいことしているのにお咎め無しか」と思う方もいるかもしれませんが、不倫によって苦しめられるのはその配偶者、原監督の奥さんであって、その他の人は原監督に文句を言う権利が無いのです。逆に原監督の奥さんが公表されたくないと思っていることを勝手に告げることは、単にお節介だともいえます。または羨ましいと思っている感情がゆがんであらわれているだけだともいえます。

 

ただし、公人と言って、公の評価の対象とするべき人物については(これを「公共の利害に関する事実)といいます)、指摘する事実が真実であり、公益目的であると認められた場合に初めて違法行為でなくなる(名誉棄損罪でなくなる)とされているにすぎません。

 

今回の原監督の事件では、原監督が公人と言えるかが問題となりますが、一般的に公人とは、公務員や、公選の公務員の候補者(選挙の候補者をイメージしてください)をさします。 巨人軍の監督といえども、一野球監督に過ぎないので、公人とはいえず、私人です。

 

そして、私人の不倫事実について「公共の利害に関する事実」といえる場合はかなり限定されていて、たとえば有名な判例では「多数の信徒を擁するわが国有数の宗教団体の教義ないしあり方を批判しその誤りを指摘するにあたり、その例証として摘示した「右宗教団体の会長(当時)の女性関係が乱脈をきわめており、同会長と関係のあつた女性二名が同会長によつて国会に送り込まれていること」などの事実は、同会長が、右宗教団体において、その教義を身をもつて実践すべき信仰上のほぼ絶対的な指導者であつて公私を問わずその言動が信徒の精神生活等に重大な影響を与える立場にあつたなど判示の事実関係のもとにおいては、刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたる」とされてます。

 

原監督に置き換えると、「多数のファンを擁するわが国有数の職業野球団体」とは言えますが、ジャイアンツの「教義やあり方」と原監督の不倫行為及びその事実が公表されない為に1億円払うことが関係するかと言えば関係が強いとは言えませんし、原監督は会長でもありません。
また、女性が国会議員という公人であるという事情もないですし、絶対的な指導者ではないですし、原監督には失礼かもしれませんが、原監督の言動がファンの精神生活等に重大な影響を与える立場にあるとは言えないと思います(原監督が言ったからそれは絶対だ!という人はファンの中でも多数派ではないでしょうし、中には当事務所の監督や堀内監督が良いと言う人もいるでしょう。)。

 

よって、本件の週刊誌の報道は、お金を渡した人が反社会的勢力であったことが明白であったり、これからよほどの公共の利害に関する事実が出てきたりしない限り、名誉棄損行為に該当すると考えます(なお、この記事は平成24年6月20日現在にネット上で判明している事実を前提に記載しておりますので、その結論には責任を持てないことを念のため明記しておきます。)

 

次に、原監督に「この事実を公にしないかわりにお金がかかる。1億円」と要求した人は間違いなく犯罪者です。 恐喝、少なくとも弁護士法72条(弁護士以外の者が法的紛争について報酬を得て事件を取り扱ってはならないという規定です。)違反になります。
恐喝については、この事実を公にしないかわりにと言ってはいますが、普通に文言を解釈すれば、1億円払わなければ事実が公になると言っているのですから、1億円と事実の公表とを等価的に交換しようとしており、原監督の弱みに付け込んで1億円引き出そうとしているだけです。
よく、誠意を見せろと反社会的勢力の方やプロクレーマーの方が言いますが、誠意を見せろだけでも逮捕される事例があります。
不倫行為だと、裁判例上、夫が学校内で不倫した案件で夫が勤める学校の上司に相談した妻の事例が違法行為ではないとされたものがありますが、上司ということを越えた第三者に公に言って評価を仰ぎたいとか、世間に理解を求めるという内容の文言をいうと、恐喝と判断されるでしょう。
特に、裁判所が通常認める慰謝料(以上の)金額を要求しながら、かつ、裁判所ではそのような金額を認めないと知りながら、(支払わなければ事実を公表するという)発言をした場合には、故意もあることになり、明らかに恐喝となります。(この先削除)当事務所ではこのような方に対しては逆に訴え返すことも視野に入れて事件処理しております。
不倫の被害者だからといって、相手を苦しめる為に何をしても良いと言うことにはならないので、注意しましょう。 弁護士法72条違反については、弁護士という制度的に紛争解決能力があるとされる職業以外の人(よく問題になるのが行政書士です)以外に事件処理を頼むと、紛争に巻き込まれた国民(本件だと原監督ですね)が不利益を被ることから弁護士法72条は定められています。
今回の件が正に弁護士法72条が防ごうとした事件で、原監督は弁護士に頼めば相手方には刑事告訴をすると言い、不倫相手には奥さんから慰謝料請求することはあっても不倫相手から慰謝料請求される理由は無いという主張も出来たはずで、少なくとも1億円は払わなくて良かったはずです。

 

いずれにせよ、若大将としてさわやかなイメージであった原監督が不倫をして、しかも1億円も支払っていたことが事実なのであれば、ファンからすれば、正に「嘘だと言ってよ!タツノリ」(ブラックソックス事件での有名な一言)ですね。