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 先日、全日本剣道連盟(全剣連)で長年続いていた不正審査が発覚したという報道がありました。
 不正が発覚したのは「居合道」の昇段審査。最高位の八段および称号の一つである「範士」の審査に不正な金銭の授受があったといいます。

 

 

 そもそも、「居合道」とは鞘から刀剣を抜き放つことを主な稽古とした武道です。稽古の相手は仮想敵であり、剣道のような激しい打ち合いはないため、子どもからご年配の方まで幅広い世代が一同に楽しめる武道として人気を呼び、江戸時代から約400年続いています。

 

 段位は初段から八段で構成されます。昇段への道程は険しく、才能に恵まれた人が修行に打ち込んだとしても、五段になるまで約10年、六段になるには約20年もの歳月がかかり、さらなる高段位を目指すには一生かかるとも言われています。今回問題となっている八段の昇段審査を受審するには七段取得後、さらに10年以上の修行が必要で、合格率もおよそ1%。
居合道一筋で半世紀近く修行を積んできた達人でも、100人受けて1人合格するかどうかという非常に狭き門です。

 

 この頂点の審査において、合格をめぐる金銭授受の不正が行われていたことが発覚しました。
居合道は「形」を見せるものであり、評価には審査員の主観が入る余地があります。今回の金銭授受では、合格したい受審者から仲介役を通じて多額の金銭が審査員に行き渡り、ある受審者の告発状によると、その額は総額で650万円にもなったとされています。
報道によると、こうした金銭の授受をはじめとした審査員への接待は常習化されていて、事実上、金で段位や称号を買うシステムになっており、実力だけで合格した人は皆無であったとの証言も見られました。

 

 こうした全剣連の不正審査について、田村はこう話します。

 

「段位や称号の審査について、技術のみで審査することを公表した上で、適正な審査料を徴収しつつ、実は審査員が御礼の金銭を受け取って合格を与えていたという事実が存在すれば、受審者に対する詐欺罪の成立が考えられます。ただ、こうした不正の事実が長年に渡って明るみに出なかった背景には、全日本剣道連盟が『一般財団法人』の形式をとっている点にあると思います。剣道のように公益性の高いスポーツであっても、一般財団法人であれば官庁の監督対象になりませんので、不適切な運営が行われていても発覚・是正しにくいという傾向にあります。スポーツ庁は平成30年度、『武道等指導充実・資質向上支援事業費』という名目で、全剣連に約1000万円の補助金を支出しています。国から補助金が出ている団体で不正行為が行われているという現状は早急に改善する必要がありますので、今後同じような不正を防ぐためにも、監視が行き渡らない一般財団法人には補助金を支出しないとか、補助金を出すのであれば官庁の監督を受ける公益社団法人に限定するなど、国としての対策も求められます」

 

 日本が誇る伝統文化である剣道の最高段位で常習的に不正審査が行われていたとなれば、武道の根幹を揺るがす大きな問題になりかねません。
近年では情報技術の発達とともに、サッカーロシアW杯でははじめてビデオ判定システムが導入されたり、プロ野球でもチーム側から審判員にビデオ判定を要求するリクエスト制度が確立されるなど、スポーツはフェアでなければ成立しない時代になりつつあります。
悪しき伝統をあらため、剣道が世界に誇る日本の伝統文化として、さらなる発展を遂げていくことを切に願います。

 

参考:
◆一般財団法人全日本剣道連盟ホームページ(https://www.kendo.or.jp/
◆スポーツ庁「武道等指導充実・資質向上支援事業」(http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop04/list/detail/1398669.htm
◆一般社団法人居想会(https://www.mugairyu.jp/index.html