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事故発生直後に行うこと

まず、交通事故において、事故直後に行っておくべきことをご説明いたします。
現在、交通事故の9割以上が示談(被害者と加害者の話し合いによりお互いに譲歩しあって損害賠償問題を解決する方法)によって解決されています。この示談において有利な話し合いを進めることができるか否かは、事故直後に必要なことを行っているか否かが一つの重要なポイントとなります。したがって、事故直後に冷静になり、自分でできることは現場で行い、できない場合には、人に頼んで代わりに行ってもらうことが重要になります。
そこで、以下では、皆ご自身に事故直後に行っていただきたいことを時系列でご説明いたします。

 

 

警察への連絡

 

その場では軽いと思われる事故であっても必ず直後に警察へ事故報告をしてください。この連絡をしておけば、後に問題が起こったときにすぐに「交通事故証明書」が出されます。また、警察により下記のように実況見分が行われると、後日の明確な証拠になります。
逆に事故連絡をしていないと、交通事故証明書は中々出されず、交通事故の解決は困難を極めることになります。さらに、警察により人身事故扱いとされなければ、後に保険金がおりないことになります。 ですので、その場で示談せず、必ず警察を呼ぶようにしてください。

警察到着までに行っておくこと

 

①加害者の情報を得る
事故直後には素直に謝っていた加害者が時間が経過することで態度を豹変させ、損害賠償に一切応じないという態度をとることがよくあります。ですので、できる限り加害者の情報を得ておき、加害者が任意に損害賠償に応じなくなったときに対応できるようにしておくことが重要になります。

 

ア 加害者の氏名、住所、本籍地、連絡先(携帯番号)の確認
本籍地がわかれば、住所が住民票上の住所と異なっていたとしても変わっていても、戸籍から住民票を追うことができます。ですので、本籍地を加害者に書かせてください。携帯電話番号も嘘をついている場合がありますので必ずその場でつながるか確認しましょう。

 

イ 加害車両のナンバーの確認
仮に加害者に嘘の氏名や連絡先を教えられたとしても、自動車登録事項証明書が取得できれば加害者を突き止めることができます。現在、原則として、自動車登録番号(ナンバープレート上に記載)及び車体番号下7桁が判明していない限り一般の人が自動車登録事項証明書の交付を申請することはできません。ですので、できる限り、車体番号までメモしておくことが望ましいです。しかし、仮に車体番号が分からない場合でも弁護士であれば登録番号さえ分かっていれば登録証明書の申請をすることができますので、ご相談ください。

 

ウ 車種、自動車保険会社名、保険番号、保険の確認
交通事故、特に人身事故のような大きな事故の場合、加害者本人の資力では損害を賠償しきれないことがほとんどです。したがって、保険会社が賠償の頼みとなります。そのため、自賠責保険、任意保険の確認が重要となります。

 

エ 車検証の確認
車検証には、自動車の所有者および使用者が記載されています。両者が異なる場合には必ず双方の氏名を確認してください。「自動車損害賠償保障法」、通称自賠法により、加害車両の使用者だけでなく、所有者にも損害賠償請求をすることができます。後に損害賠償請求せざるを得なくなった場合、両者の氏名が分かっていれば、双方もしくは経済力のある方を選択して請求することができます。

 

オ 加害者の名刺の取得
加害者が会社員等の場合は、必ず加害者の名刺をもらうようにしてください。また、加害者が名刺を所持していなかった場合には、会社名及びその連絡先をメモするようにしてください。例えば、加害者が会社の業務中に事故を起こしていたような場合には、勤務先の会社も損害賠償請求の相手に加えることができる可能性があります。さらに、加害者が保険に加入していなかったような場合、加害者の給与を差し押さえる必要が出てくる可能性があります。後に勤務先を調べるのは困難を極めることが多いので、先に確認しておく必要があります。

 

 

②事故現場の保存、証拠取得
ア 被害者車両の破損状況の確認及び写真撮影
警察が到着すれば、警察も被害状況を保存しておくために破損状況を写真に撮りますが、自分でもできれば、撮影し、写真を保存しておくことが望ましいです。

 

イ 加害者の言い分の確認及び録音、文書化
加害者は、事故当時責任を認めていても、時間の経過により、供述を翻し、責任はない、すなわち過失はないと主張し出すことがよくあります。従って、事故直後、加害者が素直に過失を認めて謝罪しているのであれば、その話を録音、メモ等その場でできる何らかの方法で証拠化しておくことが望ましいです。

 

 

③目撃者の確保
事故現場を目撃していた第3者がいれば、その方の氏名、住所、連絡先を必ず確認してください。可能であれば、警察の到着まで一緒に現場で待ってもらい、その場で警察官に話をしてもらうのが望ましいです。目撃者に時間がなく、警察が来るまで待てないということであれば、その場で目撃者の証言を録音、文書化するなどして自分で証拠化するよう努めてください。

警察到着後の注意事項

 

①実況見分時の主張
警察官は、事故がどのようにして起こったかを記録として残すため、「実況見分調書」というものを作成します。この記録は後に加害者と訴訟になったような場合、過失の割合などに関して大変重要な証拠となるものです。この実況見分調書は、加害者及び被害者の両当事者の事情聴取を基に作成されます(目撃者が居る場合には目撃者からも聴取します)。したがって、この聴取の際に、しっかりと自分の認識を主張することが大変重要になります。加害者の過失が大きいと思ったときにはその場でしっかりと主張することが望ましいです。

 

②目撃者の証言
第3者である目撃者が居たような場合には、見たことを警察官に対して証言してもらうことも重要です。当事者ではない目撃者の証言は信用性の高いものですので、その証言は有益な証拠となります。

自分の保険会社への連絡

専門家への相談

 

事故直後から加害者が全く責任を認めようとしなかった場合には、できる限り早めに弁護士等の専門家に相談に行くようにしてください。事故直後から時間が経過すればすれるほど、証拠も風化しますので、解決が難しくなります。また、事故直後は責任を認めていた加害者が態度を翻したような場合には、示談交渉は困難を極めることになりますので、すぐに専門家に相談し、場合によっては交渉を任せてしまうことが望ましいです。