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主な判例・最近の裁判例の動向

最高裁昭和61年9月11日判決

 

事実の概要
Xらは、Yに100万円ないし200万円の金員を預託してゴルフクラブに入会したが、正式開場後五か年を経過した後にゴルフクラブを退会し、Yに対し、右預託金の返還を求めた。しかし、Yは、理事会の決議によって会則を変更し、「入会金は会社が無利息・無配当にて預り10か年据置き、その後退会等の場合は請求により返還する。
但し、天災、地変、その他クラブの運営上またはゴルフ場の経営上止むを得ないと認められる事情がある場合は、理事会の決議により据置期間を延長することができる。」と定められたことを理由に、Xらの返還請求に応じられない旨反論した。

 

結論
本件ゴルフクラブの会則は、これを承認して入会した会員とYとの間の契約上の権利義務の内容を構成するものということができ、右会則に定める据置期間を延長することは、会員の契約上の権利を変更することにほかならないから、会員の個別的な承諾を得ることが必要であり、個別的な承諾を得ていない会員に対しては据置期間の延長の効力を主張することはできない。

 

 

東京地裁平成19年5月10日判決

 

事実の概要
Yの経営するゴルフクラブの会員であったXが、Yに対して預託金の据え置き期間満了を理由に、同金員の返還を請求したのに対し、Yが本件ゴルフクラブの理事会が据え置き期間を10年延長する旨決議したことを主張して、返還を拒否した。

 

結論
本件では、据え置き期間の延長について、YがXの個別的な承諾を得たという事実は認められないため、YはXに対して上記据え置き期間の延長を主張することはできない。