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為替デリバティブ被害とは

為替デリバティブ・仕組債等の被害が急増しています

 

近時、FX取引(外国為替証拠金取引)や、仕組債、仕組投信といった金融・証券取引によって損害を被る被害が急増しています。
特に、リーマンショックによる株価下落や(金融商品の多くは日経平均株価に連動する物が多い)やその後の円高(金融商品の多くは円高が進むと顧客に不利益になる物が多い)によって、被害が続出しています。
フラクタル法律事務所は、このような被害が放置されないよう、積極的に被害回復に取り組んでいます。
また、できる限りこれらの取引の危険性や正しい知識をお伝えすることで、このような商品が不要な人に販売され、被害が生じないように取り組んでいきます。
購入被害にあったら弁護士に相談することをお勧めします。

為替デリバティブとは

 

為替デリバティブを含む、金融デリバティブ商品とは、実物(貴金属、穀物等)商品や、有価証券その物を取引するのではなく、実物商品や有価証券を、買う権利(コールオプションと言います)、売る権利(プットオプションと言います)を、実物商品の価格や、有価証券の指数(ある会社の株価や、TOPIXのような株価指数)を基礎にして金額を定めて取引する商品です。
一般的には、先物(futures)、先渡し(forward)、オプション(option)、スワップ(swap)を総称したものとされています。

 

本来的には、実物商品等の金額の変動リスクを回避するために開発された金融商品です。
例えば、オプション取引について説明すると、商品が1年後に幾らになるかわからないが、1年後に1キロ10,000円で買う権利(コールオプション)を購入しておけば、1キロ20,000円になったら権利行使すれば良いですし、1キロ5,000円になったら、権利を放棄して5,000円で購入すれば良いので、オプションの価格(プレミアムと言います)の負担を受け入れることで、将来の金額変動のリスクを回避することが出来るのです。

 

プレミアムを1,000円として、具体的に計算すると以下のようになります。

 

①オプション料1,000円を支払い、行使期日1年後、1キロ10,000円のコールオプションを購入し、行使期日に1キロ20,000円になった場合
オプションを購入していない場合の調達費用
20,000円
オプションを購入していた場合の調達費用
10,000円(オプション行使)+1,000円(オプション料)=11,000円
結果、20,000万円で調達するよりも9,000円の得になる

 

②オプション料1,000円を支払い、行使期日1年後、1キロ10,000円のコールオプションを購入し、行使期日に1キロ5,000円になった場合
オプションを購入していない場合の調達費用
5,000円
オプションを購入していた場合の調達費用
5,000円+1,000円(オプション料)=6,000円
結果、オプションを購入しなかった場合よりも、購入した場合が1,000円高くなりましたが、この1,000円は調達価格の高騰に対する保険料ですから、その意味では無駄にならなかったということになります。
上記の結果、オプションを購入することで、調達コストを11,000円以下に確定させることができ、将来の調達価格の変動予測が可能になったことになります。

なぜデリバティブ被害が重大化するのか?

 

一般的な危険性

 

デリバティブは、本来リスクを回避する為に存在するものです。
しかし、本来的な目的を離れて、投機の手段(中には客殺し等の詐欺まがいの手段)に利用されると、予想外の莫大な損失を生じることがあります。
特に、オプションの売り手は、無制限の損失リスクを抱えることになるので、現物による反対売買の原資を持たないオプション売り(ネイキッドオプションといいます)は大変危険な取引です。

 

オプションの売り手は、行使期限に価格が幾らになったとしてもオプションの買い手の求めに応じて現物を調達するか、反対売買を行うことで決裁をする必要があります。この時、もともと現物や反対売買のポジションを持っている場合は、損失を最小限にすることが出来ますが、そうでない場合には、行使期限の価格で現物を調達するか、反対売買を行う必要があるので、損失が無制限に拡大するのです。

 

例えば、Aは、商品を持っていて、その価格を1キロ10,000円とし、これを1トン(1,000キロ)持っているとします。
Aは、現時点でこの商品を売却することは出来ないが(担保等がついていると考えても良いでしょう)、資金繰りの必要性、及び将来価格が下がるという読みから、この商品を安い金額で購入できるオプションを販売して、資金を得ることを考えました。
そこで、Aは、1年後に1キロ5,000円で購入できるオプションを1キロ1,000円で1トン分売りに出しました。
Bは、そのオプションを、1トン分購入しました。代金は100万円です。
この時点でAは、100万円を手にし、Bは100万円を支払いました。
1年後、行使期限が来て、商品の価格は、Aの読みと反対に、キロ20,000円になりました。
Aは、Bのオプション行使に応じなければなりませんが、現物を持っているので、それをBに渡せば済みます。
Aはもちろん商品を高値で売却する機会は失いましたが、その代わりに1年前に100万円を手にすることが出来たことになります。
もちろん銀行から借りれば利息がかかりますが、Aは利息を支払う必要もなく、逆に100万円から利息を得ることも出来ます。
加えて、商品が5,000円より値下がりしていたらBはオプションを行使しないですから、オプション料をまるまる得する可能性もあったわけです。
このように、現物を持っている場合のオプションの売りはリスクは限定されます。
しかし、同じ例でAが現物を持っていないのに、オプションを売った場合(ネイキッドオプション)はどうなるでしょうか。
Aはオプションを売却した当初は100万円を得します。
権利行使日には、商品を1トン資料から購入してBに引き渡す義務が生じます。
そうすると、1キロ20,000円ですから、2,000万円の調達費用がかかります。
結果的に、100万円を得た後に2,000万円を失うので、1,900万円の損失が生じることになります。
見た目には100万円の取引をしたように見えても、損失無制限のオプション売りを行うことによって、損害が大きな物になってしまうのです。

銀行・証券会社側に有利な商品設定

 

顧客は購入した瞬間に損をしています

 

オプションの時価評価については、ブラックショールズ方程式、モンテカルロシュミレーション等の高等数学が必要ですが、金融機関側はもちろんこういった時価評価が可能です。そして、この時価評価よりも不利な条件で顧客にオプションを取引させています。

 

具体的には、オプションを売る人にはオプション料が手に入りますが、これを不当に低くするのです。
銀行は時価評価額を知っていますし、訴訟をすると、それを認識していた証拠が出てくることもあります。
しかし、銀行は、時価評価について顧客に告げません。なぜなら、告げればだれもその商品を購入しないからです。
ここに為替デリバティブ取引被害の原因があります。
要するに、銀行は、「ある程度の幅はありながらも、一定のルールのもとでなされた結果の時価評価額を顧客に告げずに、顧客に不当に安く売らせているのです。
このようなデリバティブ取引については、既に海外、特にアメリカ、イタリア、ドイツ、インド、韓国の裁判所では問題視されており、例えば、2011年3月22日のドイツ最高裁判決においては、銀行が故意に投資家にリスク負担させる構造になっており、金融機関が設定した初期のネガティブな市場価値(時価評価が低いという意味)は、投資家の利益を危うくするものでありながらも、金融機関は説明義務を果たしていないとして投資家の過失相殺なく、€541,074の支払いを命じた判決もあります。
また、日本においても、投資家勝訴判決が出始めており、海外の流れと同様に、日本においても、今後金融機関に厳しい判決が下されることが予想されます。

 

銀行の損失は限定されています

 

典型的なデリバティブ商品には、銀行側が不意の損害を被らない為に、ノックアウト条項(ある一定の数値・為替レートになったら、そこで取引が終了し、それ以上銀行は損失を被らないという条件)が入っています。
もちろん、ノックアウト条項が入っていたとしても、それがオプション料に適正に評価されて、オプション料が上がって入ればいれば良いのですが、そのようなことはありません。

銀行・証券会社の背景事情

 

なぜこのようなお客が損をするような商品設定にするのかという理由には、2つあります。
一つ目が、為替デリバティブ取引の構造です
為替デリバティブ取引の多くがOTC(Over the counter)取引であるため、顧客の損失が、そのまま銀行の利益になるからです。
銀行は利益を出すために活動しているのですから、わざわざ顧客の利益の為に損を被る行動をとるわけがありません。
二つ目が、銀行の経営悪化と、自己資本比率の問題です
日本の金融機関は一時国からの公的援助を受けた為、早急に利益を上げる必要性に直面しました。
しかし、貸し出して利息で利益を上げようとすると、自己資本比率の低下を招くので、貸出業務で利益を上げることも出来なくなりました。
その結果、手数料で儲ける必要性があり、不適切な商品を、不適切な方法で販売せざるを得なくなったのです。

金融商品被害を避ける為にするべきこと

素人にはリスク判断が出来ない取引ですので、勧められるままに購入してはなりません

 

FX取引、仕組債、仕組投信といった金融商品については、雑誌等で取り上げられたり宣伝広告が増えていることもあり、簡単に購入される方もいますが、実際には購入する金融商品が適正価格であるか否かは高度な金融工学を駆使しても明確にはわかり難いものですし、相場変動の範囲を素人が的確に予測することは不可能ですので、非常にリスクの高い商品といえます。
そもそもプロのみが取り扱うべき危険の高い商品を無理に消費者に販売するところに説明義務違反や適合性義務違反が生じる原因があります。
わかりやすい表現でいえば、たまたま日経平均株価が指標になっているから経済取引をしているかのように装われますが、博打をするようなものです。
構造的には明日の天気や今年の夏の気温によって取引することすら可能なのです。(なお、実際に天候デリバティブ取引という物もありますが、その商品が一般消費者に不要であることは明らかです。)こういった取引をあたかも経済取引のように装って一般消費者に販売されているのが現状です。
レバレッジ、ノックイン、ノックアウト、プライシング、ブラック・ショールズ方程式といった言葉の中に一つでもわからない物があったら手を出すことは控えた方が良いでしょう。

消費者の損失がそのまま売主の利益になる構造的問題が無いか確認すること

 

まず、分かり易い例からしますと、相対取引(市場を通さず、買主と売主との直接取引。多くの差金取引が相対取引である)による金融商品の場合、取引の当事者が売主と買主だけで、単に売主が得をする場合と買主が得をする場合とを日経平均株価や金の値段によって決めるだけですから、将来売主が利益を得る為には、買主が損失を被らなければならない構造(ゼロサム取引)になっています。
つまり、総利益=買主の利益+売主の利益の公式がなりたち、加えて金融商品はお金を右から左に流すだけで利益を増大させる取引ではありませんから、総利益=0となる。そうなると、0=買主の利益+売主の利益になる。このような場合に売主がたとえば100の利益を得る為には、売主+100=買主-100となるので同額を買主が同額の損失を被ることになります。もちろん上記計算式は手数料や税金を除いていますから、売主の利益が単に買主の損失と一致はしませんが、買主である消費者が損をしなければ売主であるプロの金融家は得をしないという構造は一緒です。
そしてこのような利益を奪いあう構造になっている買主である一般消費者と、売主であるプロの金融家は、その能力、資金力、情報量に大きな差があるという、消費者被害の典型的構造が存在しています。

購入者が損をする可能性が高い商品も多いので注意が必要です

 

特に仕組債、仕組投信においては、一定の場合には購入者が得をし、一定の場合には購入者が損をするということがルール化(といっても一般消費者にとっては不明確な内容)されていますので、一見購入者が損をするか得をするかは博打と同じく運任せであり、フィフティフィフティの確率で得をすることもあると考えられがちです。
しかし、そのルールの内容を詳細にみると、確率論的には消費者が必ず損をするようなものもあります。
例えば、仕組債について、「日経平均株価が5年間で35パーセントを下回らなければ損はしません」という誘い文句で仕組債を購入したが、実際のところ5年間に日経平均株価が35パーセント下がる確率は平均59%であったという事案があります(東京地方裁判所平成23年2月28日判決)。
もちろん顧客には「平均59%の確率で損しますよ」という説明はなされておりません。なぜならそんな説明をすれば当然金融商品が売れないからです。
金融機関の担当者がそのような知識を持っていて勧めれば騙しているとすら評価できますし、知識を持っていなければプロとしての知識が不足していることになります。